障がい者雇用の現状と就労支援(Vol.2)
障がい者雇用について、前回のコラムでは令和2年6月に三重労働局より発表された三重県内における障がい者雇用の現状と、利用者さんへの就労支援と定着についての取り組みに触れました。今回は、1年経過して県内の雇用状況がどのように推移しているのか、また当法人内における障がい者雇用の現状について書いていきたいと思います。現在、民間企業における法定雇用率は令和3年3月より引き上げられ2.3%となっています。義務化が開始された1976年当時は1.5%でした。現在に至るまで最初は約10年周期、そして5年周期で見直しが繰り返し行われてきましたが、この年数で0.8%の上昇という数値を多いと捉えるか少ないと捉えるか、その時々の様々な背景もあると考えられますが、皆さんはどのように感じるでしょうか。
【目次】
1.障がい者雇用の現状
2.法人内における障がい者雇用の現状と取り組み
3.まとめ
1.障がい者雇用の現状
三重県内の障がい者雇用の状況について、三重労働局より発表された「令和3年 障がい者雇用状況の集計結果」(令和3年6月1日現在)では、民間企業(県内に本社がある43.5人以上規模の企業)に雇用されている障がい者数は4,720.5人で、前回より149.0人増加し過去最高となっています。内訳としては、身体障がい者は2,675.0人、知的障がい者は1,127人、精神障がい者は918.5人となっています。実法定雇用率も2.36%で、法定雇用率達成企業の割合は56.9%となっており、雇用率の達成企業の割合は前回に比べると2.1%減少していますが、雇用人数はそれぞれの障がいにおいても前回値を上回っています。 (※1)
2.法人内における障がい者雇用の現状と取り組み
当法人においても、障がいをお持ちの方がそれぞれの職場で皆さん日々の業務に励んでいます。現在、7名の方が働かれており、雇用率は7.96%となっています。以前は法人内でも就労継続支援A型の事業を運営しており、雇用契約を結びつつ福祉サービスを利用されていましたが、令和2年3月末で廃止となり障がい者雇用に移行された方もいます。また、障がい者雇用とは少し異なるかもしれませんが、ここで「中間的就労」への取り組みについても触れたいと思います。中間的就労は、一般就労と福祉的就労(障がい者雇用等)とは異なる新しい働き方として、平成27年4月から制度化されたものです。心身の不調やブランク等により「働きづらさ」を抱えて、一般就労が難しい方へ一定の配慮や支援を行うことで、働くことへの意欲やスキルの向上を図り、働くことを促進していきます。法人の事業計画でも「SDGs 持続可能な開発目標」への活動として、目標1(あらゆる場所のあらゆる形態の貧困を終わらせる)で「中間的就労」の取り組みを挙げています。そして今年度は新たに県の事業である「令和4年度障がい者の働きやすい職場づくりモデル事業」(※2)に参加させて頂くことになりました。利用者の方への就労支援と共に、当法人内でも障がい者の方がより働きやすい環境作りを今後も目指していければと思います。
3.まとめ
障がい者雇用を取り巻く情勢は年々変化しています。「働きやすい環境とは何か?」を考えた時に、それは障がいの有無に関わらず、皆さんがやりがい持って働くことができ、周囲に目を向け、必要と思われることを一緒になって取り組んでいけることが大切なことだと思います。その人にとって、どういった環境やフォローをすれば良いのか、出来ていることや必要のないところまでフォローする必要はないと思います。そのためにも、自分自身がまずそれを意識すること、周りをよく見て何がその時に必要なのかを模索するということを忘れず、日々の業務に取り組んでいければと思います。
【参考文献】
※1 1~05 令和3年6-1発表資料 (mhlw.go.jp)
※2 三重県|就労支援:令和4年度障がい者の働きやすい職場づくりモデル事業 (mie.lg.jp)