私たちがつくる 個別支援計画書
私たちは、利用者の方々が安心・安全な暮らしを送るために、日々の支援を繰り返しています。その支援の中には、介護支援、就労支援、相談支援・・と多岐に渡ります。こういった支援の根拠となるものとして「個別支援計画書」の作成があります。利用者さんの思いを聞き取り、寄り添い、利用者さんの希望する生活、なりたい自分になるためどうしたらいいか・・等をその計画書に落とし込んでいくという大切な仕事です。
【目 次】
1.個別支援計画書って?
2.個別支援計画書がもつ意味
3.ちょうどいいくらい を知るために
4.まとめ
1.個別支援計画書って?
「個別支援計画書」の作成はPDCAのサイクルを繰り返し作成されていきます。プランを立て(plan)、実行し(do)、評価・チェック(check)をして、改善(act)をする。このプロセスはとても重要で、このプロセスが実行されていないと「減算」となります。
減算になるから、しっかりとこのプロセスを実行して監査に備えましょう・・というお話ではなく、今回はこの「個別支援計画書」を作成する私たちの責務についてお話をしようと思います。
2.個別支援計画書がもつ意味
利用者さんの希望する生活、なりたい自分像、チャレンジしたいこと・・自分の思いを自分の言葉でお話できる方ばかりではありませんので、日々の支援の中から、利用者さんの思いを汲み取ったり、想像したり、一緒に働く仲間と利用者さんの事を話すこと、が必要となってきます。利用者さんが50人いたら、50通りの暮らしや思いがあるという事を忘れてはいけません。50人分の計画は、お一人お一人に寄り添った形で同じものはないはずです。
まさに、個別支援計画書は「あなたが、なりたい自分になるための地図」という事になります。支援者から利用者さんに宛てた、最初の贈り物となります。
そしてここから、その方の思いにそった支援がスタートします。支援者も役割分担をしながら、世話人・看護師・栄養士・理学療法士・医師や相談員などと、利用者を取り巻く様々な人と連携しながら進めていきます。ですので、個別支援計画書は「支援者を結びつけ、同じ方向を向くためのツール」でもあります。
そんな重みや責任のある計画書を作成するに当たり、私たちは頭を悩ませます。
*利用者さんの思いをどうやって反映させたらいいのか?
*利用者さんがやる気になってくれるかな?
*目標が高すぎて利用者さんがイヤにならないかな? などなど
そもそも利用者さんにマッチした100%完璧な計画書はありませんので、更に悩む訳です。
利用者さんに「ちょうどいいくらい」のところを見極めながら進めていく必要があります。
3.「ちょうどいいくらい」を知るために
そこで私がよくお話することは「カルピスの原理」です。
カルピスを作るとき、まずは相手に濃い目がいいか、薄目がいいか聞きます。
相手が好むカルピスを作れるように、水を足したり、原液を足したりしながら、お好みの味に近づけます。
この一連のプロセスは、個別支援計画書を作成するプロセスそのものです。
相手の話を聞いて、足したり引いたりすること。そして重要なのは、このお好みの味を、自分だけのものにせず、周りの人に伝えていく事も私たちの大切な仕事の一つです。
そのために、支援者は利用者さんの声を聞き取ります。声にならない声も聞き取ります。想像力を働かせ、「ちょうどいいくらい」を探していきます。
利用者さんのたくさんの思いに応えていけるよう、支援者は、利用者さんとたくさん話をしたり寄り添ったりして、その人を知る必要があります。知れば知るほど、たくさんの知識や情報を、自分のものにしていって、自分の引き出しも増やしていかなければなりません。
4.まとめ
「求む!ドラえもん支援者!」
なぜ「ドラえもん」?と思われるかもしれもせん。
のび太はいつも困ったとき、ドラえもんを頼って助けを求めます。
そんなのび太に呆れながらも、ドラえもんはポケットの中からいろいろなグッズを出し、のび太を助けます。時にそのグッズで一緒に失敗することもありますが、困りながらも二人の関係が崩れることはありません。
誰もが知る「ドラえもん」を一幕です。
この関係性が利用者さんと支援者の間にもできればいいなと思います。
利用者さんの人生とまではいきませんが、私たちの仕事の責任はとても重いですが、やりがいがある仕事です。
障がい者支援の知識や技術などの専門性は必要ですが、利用者さんにどのように向き合うか、四日市福祉会で自らのポケットを一緒に増やしていきませんか?