災害に備えた非常食の考え方
もしも災害が起こってしまったときに考えなければいけないことのひとつが「食事」に関することです。災害はいつどこで起こるかわかりません。災害が起こってしまってから動くのでは遅いため、もしものために事前の備えが必要となります。そこで今回は、当法人の非常食の考え方についてコラムにしようと思います。
【目次】
1.非常食の必要量
2.献立作成
3.保管・管理方法
4.まとめ
1.非常食の必要量
非常食を準備するにはまず、非常食の必要量を考えます。厨房が管理している当法人の非常食の必要量は、給食利用者(入所者や通所利用者)と職員(1日の平均人数)×3日分(9食分)で計算しています。発災直後は交通網の寸断などにより、行政からの支援物資の配給が3日以上到着しないことが想定されるため3日分の食料を用意しています。また、それに加えて当法人で運営しているパン工房ブルーミングの食パンや調理・菓子パンを保存して用意しています。水に関しては飲料水として1人1日2L×3日分で、2Lのうち半分は500mlのペットボトルを2本ずつ用意することで非常時にいつでも飲んでいただけるようにしています。また、調理用として必要な分を計算して用意しており、他にも手洗いやトイレなどに使用する生活用水もある程度用意しています。
2.献立作成
次にどのような食事を提供するのか、非常時用の献立を作成します。献立作成に考慮する事は、①加熱調理が必要ないもの②主食と副菜の組み合わせ③ローリングストック④咀嚼・嚥下機能に合わせた食品などの4つがあります。①はライフライン(電気、ガス、水道)が止まった時でも提供できるように加熱調理しない食品を採用しています。非常食の種類には缶詰やレトルトパウチ、フリーズドライ、アルファ米などがあり、施設にあった非常食を選択する必要があります。②について当法人では、水で戻すことが出来るアルファ米や温めずに食べられるレトルトカレー、容器が必要ないゼリー飲料などいろいろ種類を組み合わせて献立作成をしています。③のローリングストックとは、普段使用している食品を少し多めに用意して賞味期限の古いものから消費し、消費した分を足すことで常に一定量の食品を保つことを言います。非常用として購入した食料は賞味期限が過ぎてしまうため、古いものは普段の献立に組み込んでその都度新しく購入することで、一定の食料を確保することができます。また、当法人には食へのこだわりが強い方もいらっしゃるため、備蓄する食料は普段食べなれている食品や見た目がそれに近い食品であることが好ましいです。備蓄する食料を考慮することで非常時に提供しても食べ残しが少なるような工夫もしています。④について当法人には咀嚼・嚥下機能が低下している利用者さんもいるため、常食とは別に歯茎や舌でつぶせてとろみのある特別食を用意し、非常時でも安全に食事が提供できるよう考慮しています。他にも、非常食の大半が容器に移して提供する食品のため、非常食倉庫の場所が限られていることもあり、ごみの体積がなるべく小さくなるようにかさばらない使い捨て容器を用意するなど工夫しています。献立が決定したら災害時に誰でも非常食を使用できるように、使用する順番やそれぞれ食品ごとの提供方法、数量、期限を記載した献立表を作成し、非常食倉庫に掲示しています。
3.保管・管理方法
災害が起こった時に冷静に対応できるかつ目で見てわかるように用意した非常食には1箱ずつ「○食目、食品名、期限、1人当たりの量、提供方法」を記載したラベルを貼ることで、何が入ってるのかわかりやすく使用しやすいようになっています。また、1食目から順番に取り出せるように左から右へ1~9食目まで並べて保管しています。非常食には期限があるため、毎年度、その年に期限が切れる非常食の使用・購入計画を立てることで期限前に使用できるようにしています。また、非常食の期限が早い順に並べたデータを作成し、使用の優先順位が目で見てもわかるように工夫しています。毎月の非常食の管理として、食品名・期限・数量・次回購入日を記載したチェックリストを使用して用意している数量があるか、期限は切れていないか、次回いつ購入しないといけないのかを確認しています。使用方法としては通常の献立に取り入れたり、非常食訓練を行ったりしています。実際に使用することで非常時でも職員全員が使用できるようにしていくことを目標とし、また、使いやすさや提供のしやすさなど職員の意見を聞くことができるのでその意見を参考に非常食献立の見直しを行っています。
4.まとめ
食事は生きていくうえでとても大切なことです。災害時の食事について予め計画を立てておくことで、災害が起こった時に食事に関する心配は少なくなります。また、災害時は混乱を招く恐れがあるため、落ち着いて行動ができるように備えることが大切だと思います。最悪な状況にならないことを願って、今後も災害時の食事の提供について検討していきます。