コラム

傾聴力を身につける

日々の生活の中、他者との信頼関係を築く上でコミュニケーションをとることが第一歩となります。最も基本となる手段といえば会話によるコミュニケーションですが、「話す」ことに意識を向けがちで、「聴く」ことが疎かになっていませんか?スムーズに相手との信頼関係を構築するためには、相手の話に耳を傾ける力「傾聴力」が大切になってきます。傾聴力はどのようにすれば培われていけるのかを考えていきたいと思います。

【目次】

1.そもそも「傾聴」ってなに?
2.傾聴によるメリット
3,傾聴力を高めるには
4.まとめ

1.そもそも「傾聴」ってなに?

傾聴とは、ただ相手の話を「聞く」だけではなく、相手の気持ちに寄り添い共感しながら、深く理解して、耳を傾けることをいいます。カウンセリングの際に使われている技法であり、相手が本当に話したいことを引き出して理解することを目的に用いられています。傾聴することでどのような効果を得られるのでしょうか。

2.傾聴によるメリット

傾聴することにより、相手の気持ちが徐々に開かれていき、一歩踏み込んだレベルで相手を理解することができます。例えば、コンプレックスや苦手意識の部分は自ら話し辛いものです。しかし、傾聴がしっかりできれば「自分を受け入れてくれるから話してみよう」という気持ちになってくれるかもしれません。その結果、普通に接していては聞けないような話を聞くことができる可能性が上がり、より強い信頼関係の構築に繋がります。
また、意外に感じるかもしれませんが、傾聴力を身に付けると自分自身を深く知ることにも繋がります。相手の話を相手の立場に立って聞くことで、自分から見ていた状況と、相手から見えていた状況が違うと気付くことがあります。そういった時は、相手の考えを深く理解しようと努め、相手の立場と自分の立場を比較することとなります。その結果、自分の内面を客観的に考えるようになるため、会話を通して自分に対する理解も深まります。

3.傾聴力を高めるには

身に付けることでメリットになる傾聴力ですが、どのようにすれば磨くことができるのでしょうか。

●相手の話を聞く態度と姿勢を意識する。
まずは「しっかりと話を聞く意志がある」と思ってもらうことから始まります。コミュニケーションにおいて、言葉を用いない部分での非言語コミュニケーションはとても重要です。
① 相槌を打つ
相槌を打つことで、話を真摯に聞いていること、共感していることを示します。ただし、相槌を打ちすぎると適当に反応しているように受け取られてしまうこともあるため注意が必要です。
② アイコンタクトで反応する
目を見て話をきくことで、真剣に話を聞いている姿勢を示すことができます。目を合わせることが苦手な方は眉間の辺りを見るよう意識すれば、自然なアイコンタクトとなります。
③ 基本はやわらかい表情で
相手が緊張しないよう、話しやすい環境をつくるためにも顔の表情には気をつけましょう。

●沈黙を怖がらない。
沈黙は相手が自分の考えを頭の中で整理している最中なので、妨げないようにしましょう。沈黙が耐えられないからといって、焦って話し始めてしまわないようにしましょう。

●ミラーリングで安心感を持ってもらう。
ミラーリングとは、鏡のように相手と同じ動作を行う技法です。この技法を使うことでお互いの親密感を高める効果があります。ポイントとしては、相手の動作を全て真似るのではなく、少しタイミングをずらしたり、声のトーンを似せたりする程度にしましょう。また、技法を意識しすぎて、相手の話が頭に入っていないといったことにならないように注意が必要です。あくまで、話を深く聞くテクニックなので意識しすぎないようにしましょう。

●バックトラッキングで共感を示す。
相手の発言と同じ発言をそのまま返すことで、相手の話に興味がある姿勢を示すことができます。いわゆる「オウム返し」です。例えば、相手が「悲しいことがあって」と言われた場合に「悲しいことがあったのですね」と返すことで、相手に「話を聞いてくれる」と思ってもらえます。あくまで、相手の話を聞くことが目的なので、思わず自分の話をしないように気を付けましょう。

●話をまとめて言い換える。
相手の話をきいて、要点をまとめて言い換えることは、大切なポイントです。例えば、相手が「考えなしですぐ動いてしまう」と話された際には、「行動力があるのですね」とプラスの表現に言い換えます。話した内容が他人の言葉で返ってくることで、自分の考えを客観視してもらえます。

●相手の気持ちになって考える。
人はつい自分の立場で考えてしまいがちです。そこから一歩踏み込み、相手の立場に置かれたらどうなのかを基準に考えることで深い部分まで掘り下げて理解できるようになります。

●自己開示で話を広げる。
自己開示とは、自分の考え、経験、感情を伝えることを言います。自分が心を開いて接することで、相手も心を開きやすい雰囲気になります。ただし、自分の話ばかりになってしまわないように注意が必要です。

●答えやすい質問で話を掘り下げる。
いきなり核心をついた質問を投げかけても相手が答えづらいこともあります。まずは簡単で何気ない話題や質問から始めると相手もスムーズに話しやすくなります。
どう質問していいか悩んだ時は5W1Hに沿って考えてみると効果的です。

<5W1Hとは>
・When(いつ)
・Where(どこで)
・Who(誰が)
・What(何を)
・Why(なぜ)
・How(どのように)

4.まとめ

私自身も会話をする際に、「どうすれば自分の気持ちを伝えられるだろう」「どう表現すれば伝わりやすくなるだろう」と話すことに意識が向きがちで、相手の話を聞けていなかったと反省することがあります。上記の方法を参考にして、相手の気持ちを汲み取ることを意識していきます。一度の会話で相手の本心を聞きとることは難しいこともあります。繰り返し会話を行う中で、相手への好奇心を絶やさず持ち続けることが重要なのだと思います。

【参考文献】
「傾聴力」はコミュニケーションの基本スキル!メリットと誰でも身に付くトレーニング方法を解説