障がい者施設の衛生管理 vol.3
はじめに
感染症や食中毒などの発生が身近になり、皆さんの食品衛生への関心は非常に高くなっているのではないでしょうか。垂坂山ブルーミングハウスの厨房では大量調理施設衛生管理マニュアルに準じた衛生管理を行っています。
大量調理施設衛生管理マニュアルは、集団給食施設等における食中毒を予防するために、HACCPの概念に基づき、調理過程における重要管理事項として、
①原材料受け入れ及び下処理段階における管理を徹底すること。
②加熱調理食品については、中心部まで十分加熱し、食中毒菌等(ウイルスを含む。)を死滅させること。
③加熱調理後の食品及び非加熱調理食品の二次汚染防止を徹底すること。
④食中毒菌が付着した場合に菌の増殖を防ぐため、原材料及び調理後の食品の温度管理を徹底すること。
等を示したものです。
垂坂山ブルーミングハウスのような集団給食施設は、衛生管理体制を確立し、これらの重要管理事項について、点検・記録を行うとともに、必要な改善措置を講ずる必要があります。また、これらを遵守するため、更なる衛生知識の普及啓発に努める必要があります。
今回は重要管理事項「④食中毒菌が付着した場合に菌の増殖を防ぐため、原材料及び調理後の食品の温度管理を徹底すること。」をどのように行っているか説明します。
【目次】
1.原材料の適切な温度管理及び記録
2.冷蔵・冷凍庫搬出後の留意点
3.調理中・提供前の温度管理
4.提供時間の留意点
5.まとめ
1.原材料の適切な温度管理及び記録
原材料を、適切な温度で保存するために、室温及び冷凍又は冷蔵設備内温度の記録を行っています。原材料搬入後、各原材料に適した保存場所(戸棚、冷凍庫又は冷蔵庫)に保存しています。 また、原材料搬入時には調理従事者等が必ず立合い、検収場で時刻、品質、鮮度、品温(納入業者が運搬の際、適切な温度管理を行っていたかどうかを含む)、異物の混入等につき、点検を行い、その結果を記録しています。
2.冷蔵・冷凍庫搬出後の留意点
細菌は20℃~50℃の温度領域で増殖しやすいため、冷凍又は冷蔵設備から出した原材料は、速やかに下処理、調理を行っています。非加熱で提供される食品については、下処理後速やかに調理に移行しています。
3.調理中・提供前の温度管理
調理後直ちに提供される食品以外の食品は、食中毒菌の増殖を抑制するために、 10℃以下又は65℃以上で管理することが必要です。垂坂山ブルーミングハウスでは調理中の温度管理でどのような工夫をしているのかお話しさせていただきます。 ① 加熱調理後、食品を冷却する場合には、食中毒菌の発育至適温度帯(約20℃ ~50℃)の時間を可能な限り短くするため、ブラストチラー(急速冷却機)を用いて、30分以内に中心温度を20℃付近(又は 60分以内に中心温度を10℃付近)まで下げています。②調理終了後提供まで30分以上を要する場合は温かい状態で提供される食品については、調理終了後速やかに保温食缶等に 移し温蔵庫を用いて保存しています。その他の食品については、調理終了後提供まで10℃以下の冷蔵庫に搬入を市で保存しています。③ 配膳過程においては温冷配膳車(保冷・保温設備のある運搬車)を用いて、冷たい料理は10℃以下温かい料理は65℃以上の適切な温度管理を行い配膳しています
4.提供時間の留意点
調理後の食品は、調理終了後から2時間以内に喫食することが望ましいため、支援員さんに声掛けを行うなどして2時間経過しないように努めています。
5.まとめ
垂坂山ブルーミングハウスの厨房では、利用者さんに安心安全な食事を提供できるようにHACCPに基づいた大量調理施設衛生管理マニュアルに基づき衛生管理に努めていますが、今後も食中毒防止に向け、衛生管理の見直しを定期的に行い、より一層徹底された衛生管理を行えるよう努めていきたいと思います。
<参考・引用>
大量調理施設衛生管理マニュアル(厚生労働省)
HACCP ハサップ (厚生労働省)