コラム

レクリエーションを盛り上げるには

新型コロナウイルスの流行によって外出の機会が減り、室内で活動する時間が増えたという方は多いのではないでしょうか。TVや動画鑑賞、既存の玩具やゲームを楽しんでもらうこともいいのですが、すぐに飽きがきてしまったりマンネリ化してしまったりします。より良い余暇を提供させていただくためにレクリエーションを考案して楽しんでもらっているのですが、レクリーションといっても様々なものがあり、どのような計画を立てるのが良いのか悩んでしまうことがあります。今回はレクリエーションを行う上でのポイントを考えていきたいと思います。

【目次】
1.レクリエーションの意義
2.実体験に基づいての失敗例と成功例
3.レクリエーションを計画し行う上でのポイント
4.まとめ

1.レクリエーションの意義

レクリエーションは、様々な活動を通して楽しいひとときを過ごすことで、その人の心や身体、生活を活性化させるきっかけになります。また、レクリエーション活動を通して人間関係を築いたり、コミュニケーションの促進を図ったりするにも有効な援助方法です。

<レクリエーションの機能>
● 解放機能:気晴らしなどの気分の変化に役立つ。
● 身体機能:機能訓練や全身的体力の調整に役立つ。
● 精神機能:緊張から解放され、情緒的安定や高揚に役立つ。
● 交流機能:社会的生活技術(特に対人関係)の再開発に役立つ。
● 活性機能:生活活性、自己実現、生きがいづくりに役立つ。

2.実体験に基づいての失敗例と成功例

私自身が計画し行ったレクリエーションの中に「手作りのスゴロクを利用者の方達と作って遊ぶ」というものがあります。気分転換(解放機能)と文字を書いたりサイコロを投げたりすることでの指先や頭の運動(身体機能)、参加者同士の交流(交流機能)を目的として計画を立てました。

<1回目の計画>
〇 スゴロクの作成手順:
1. あらかじめ画用紙にマス目とゴール、矢印を書いておく。
2. 参加者の方達に順番でマスの中に文言を記入してもらう。
(記入例:お店でごはんをたべた3マスすすむ)
3. 駒は小さな人形を使用。

〇 スゴロクの遊戯方法:
1. 4~6名ずつ参加してもらう。
2. 机の上に画用紙をひろげてゲームを開始する。
3. サイコロを順番にふってもらい、出た数字だけ駒を進める。
4. とまったマスに書いてある文言に従って駒を進める。
5. 3と4を繰り返して、早くゴールに着いた人が勝ち。

自分の中でのスゴロクのイメージが既製の玩具にある「人生ゲーム」を思い浮かべていたため、マスに記入してもらう文言は施設内での出来事などを書いてもらったり、コマの移動も複雑にしたりして作成しました。結果としては、ほとんどの方が作成する時点で参加されず、遊戯の間もあまり盛り上がることなく終わってしまいました。

<2回目の計画>
〇 スゴロクの作成手順
1. 5cm四方のポストイットを参加者全員に配布し、1~3の数字と「すすむ」か「もどる」のどちらかを記入してもらう。*記入が難しい方は職員が聞き取って記入。
2. ポストイットをホワイトボードに自由に貼ってもらう。
3. 貼ってもらったポストイットをマスとして間に支援員が矢印を記入し、ゴールも設定する。
4. 駒は色違いのマグネット2個を使用。

〇 スゴロクの遊戯方法
1. 参加者の方達に2つのチームにわかれてもらう。
2. ホワイトボードの前に椅子を並べてゲーム開始。
3. 各チーム交互に1名ずつ前に出てきてもらい、サイコロをふる。
4. 出た目の数分、自分のチームの駒を移動させてもらう。
5. とまったマスに書いてある文言に従って駒を進める。
6. 3から5を繰り返して、早くゴールに着いたチームが勝ち。

2回目は、ゲーム内容をシンプルにすることと参加者の待ち時間を極力減らすことを意識して計画を立て実施しました。マス目の作成を全員一度にできる方法をとり、マスの文言も誰もが一目で分かるものにしました。また、チーム戦にすることで他の方がサイコロをふっている時も関心を持ちやすく、サイコロをふる側も注目されていることで参加意欲が増す効果が見られました。結果、レクリエーションとして成立して盛り上がることができました。

3.レクリエーションを計画し行う上でのポイント

1回目のレクリエーションはなぜ上手くいかなかったのでしょうか。大きな要因は、作成工程とゲームの難易度が参加者の方の能力と合っていなかったことだと思います。また、作成工程とゲーム進行中に一度に参加できる人数が少な過ぎたことで、待ち時間が多くなってしまったことも一因かと思います。2回目ではその部分を改善して実施できたことが成功に繋がっています。
では、1回目のレクリエーションは悪い内容であったのかと言われるとそうは言い切れません。今回のレクリエーション参加者にはマッチしませんでしたが、別の参加者を対象とした場合は「(2回目のゲーム内容だ)簡単すぎてつまらない」と真逆の結果になるかもしれません。また、成功したからといって1回目の内容でばかり実施していると飽きがきてしまうでしょう。
レクリエーションの計画を立てる時は、参加者の目線に立って考えることが重要で、自分のイメージに固執してしまうと柔軟な発想ができず、独りよがりな計画になってしまいます。まず参加される方の特徴や能力を知った上でレクリエーションの難しさを設定し、段階的に内容を変更していく必要があるのだと思います。

4.まとめ

レクリエーションについて考えてみましたが、結論としては「正解はない」ということです。ひとりひとりが違う性格や嗜好を持たれているのですから、参加者全員が満足するものはそうそうできるものではありません。失敗は成功の基とよく言われる通り、失敗したら次に活かす姿勢が大切なのだと思います。そうすることで、できるだけ多くの方達に満足いく計画が立てられるのではないかと思います。あと、「進行している時は笑顔で」これはとても重要です。進行している時はリアクションを大きくとり、楽しい雰囲気作りが大切です。レクリエーションの一番の目的は「楽しんでいただくこと」なのですから。

【参考文献】
鳥取県レクリエーション協会「レクリエーションの意義と展開」講義レジュメより一部抜粋