障がい者施設での防災への取組み
日本は災害大国と呼ばれています。地震・津波、台風・洪水、温暖化による異常気象など、さまざまな心配事があります。最近は地震も多く、南海トラフ地震や首都直下型地震等、大都市およびその近郊に甚大な被害を及ぼすことが予想される災害が、いつ発生しても不思議ではない状況にあり、日ごろからの備えが非常に重要視されています。
そこで、今回は当法人の防災に関する取り組みについてお話したいと思います。
【目次】
1.災害時に備えて
2.災害時の課題
3.まとめ
1.災害時に備えて
台風や水害は気象状況などから、被害が発生する前に予測し、物資を調達しておいたり、早めに避難したり出来ますが、地震は前兆もなく突然発生する為、普段からの備えがとても重要となります。
当法人でも各事業所で、災害訓練・避難訓練を毎年数回実施し、緊急時に起こり得る課題を洗い出し、改善する事で災害に備えています。
例えば、グループホームでは突然の災害時、職員が不在である事を想定し(職員が誘導する事なく)入所者のみでヘルメットや防災頭巾を着用し、避難場所である垂坂山ブルーミングハウスへ到達できる確認を行っています。さらに入所者一人一人の非常持ち出し袋(防災リュック)を用意し、緊急時に備えています。
また、通所施設では消防総合訓練(避難訓練、救出訓練、通報訓練、消火訓練)を実施しています。
垂坂山ブルーミングハウスは地域の二次避難所(福祉避難所)に指定されている為、防災備蓄倉庫を設置し、食糧や調理器具、仮設トイレや発電機などの防災用品を取り揃えています。
2.災害時の課題
障がいのあるなし関わらず、災害時の課題はたくさんあります。
移動(独歩)する事が困難な方や危険・警報を察知しにくい方、急な変更への適応が苦手な方など、緊急時の迅速な対応が難しい事が挙げられます。これまで重ねてきた訓練のなかで、いくつもの課題が見つかっています。館内放送での避難指示を聞いて、すぐに避難できる方もいますが、急な変更が苦手な方は逃げる事を拒みます。トイレをいつも決まった時刻に使用する方などは、緊急時でも変更する事ができず、避難指示があってもトイレから出る事が出来ません。地震や火災発生時はエレベーターを使用できなくなる事も考え、歩く事が苦手な方も介助を受けながら階段を降りて避難する練習もしています。
また、通所施設においては、交通障害などで帰宅困難となる事も予想されます。ご家族と離れ、支援者や地域の方々と過ごさざるを得ない状況になった時、きちんと環境を整える事が出来るのでしょうか?そんな時のために「マイノート」を始めました。マイノートとは、障がいのある方など支援を必要としている方が、自身の情報(住所・氏名・緊急連絡先・障害の特性・かかりつけ医・服薬状況など)を記入し携帯・提示する事で迅速に支援者や地域の方々に情報を伝える事が出来る“おまもり”です。
3.まとめ
災害発生直後、最も重要な事は“命を守る事”ですが、その後の生活についての支えも必要不可欠です。支援者として何が出来るのか。利用者全員が落ち着いて過ごせる環境を整備し、周りの方々にも理解していただけるよう、伝えていかなければなりません。また、新型コロナの影響で、一層困難な課題もあるかと思います。“いざ!”と言う時の為に、迅速に対応できる様、日々の備えを怠る事無く環境を整えていきたいと思います。
【参考文献】
知的障害福祉研究Support 4月号(公益財団法人 日本知的障害者福祉協会)
【リンク】
災害大国
マイノート
二次避難所(福祉避難所)