障がい者施設の衛生管理 vol.2
はじめに
感染症や食中毒などの発生が身近になり、皆さんの食品衛生への関心は非常に高くなっているのではないでしょうか。垂坂山ブルーミングハウスの厨房では大量調理施設衛生管理マニュアル(に準じた衛生管理を行っています。
大量調理施設衛生管理マニュアルは、集団給食施設等における食中毒を予防するために、HACCPの概念に基づき、調理過程における重要管理事項として、
①原材料受け入れ及び下処理段階における管理を徹底すること。
②加熱調理食品については、中心部まで十分加熱し、食中毒菌等(ウイルスを含む。)を死滅させること。
③加熱調理後の食品及び非加熱調理食品の二次汚染防止を徹底すること。
④食中毒菌が付着した場合に菌の増殖を防ぐため、原材料及び調理後の食品の温度管理を徹底すること。
等を示したものです。
垂坂山ブルーミングハウスのような集団給食施設は、衛生管理体制を確立し、これらの重要管理事項について、点検・記録を行うとともに、必要な改善措置を講ずる必要があります。また、これらを遵守するため、更なる衛生知識の普及啓発に努める必要があります。
今回は重要管理事項「②加熱調理食品については、中心部まで十分加熱し、食中毒菌等(ウイルスを含む。)を死滅させること。③加熱調理後の食品及び非加熱調理食品の二次汚染防止を徹底すること。」をどのように行っているか説明します。
【目次】
1.加熱調理食品の温度管理
2.手洗いによる二次汚染防止
3. 原材料や調理器具の保管
4. 器具や容器等の洗浄・殺菌
5.まとめ
1. 加熱調理食品の温度管理
加熱調理食品は校正された中心温度計を用いて、中心部温度が85℃以上で1分以上加熱し、温度と時間の記録を行っています。加熱を十分に行うことで、もし食中毒を起こす細菌等が付いていたとしてもほとんどの細菌は調理食品の中心部温度が75℃で1分以上加熱することで死滅します。二枚貝等のノロウイルス汚染の恐れがある食品の場合は85~90℃で1分以上の加熱をする必要があります。
2.手洗いによる二次汚染防止
手洗い場の近くに保健所の手洗いマニュアルの掲示や月に1度勉強会を行い手指衛生に努めています。食品を加熱し食中毒菌を死滅させることも大変重要ですが、その前に食中毒菌を食品に付けないことも大変重要となっています。人が行う作業は全て手を使うため、手が食中毒菌で汚染されていればそこから物や食材を触ることで全て汚染されてしまいます。また、食中毒菌が繁殖する条件には「適温(20℃~50℃付近)・栄養(汚れ)・水分」が必要なため、人の手は食中毒菌が繁殖するのに最適な条件が揃っています。このことから流水と石鹸による手洗いを行って菌や汚れを除去し、ペーパータオル等でしっかりと拭き取ってからアルコール消毒を行うことで食中毒予防に努めています。また、手洗いを2回行うことで菌やウイルスなどの残存率を減らす効果があります。手洗いは調理始業前やトイレに行った後、食品に触れる前後などこまめに手洗いを行っています。
3.原材料や調理器具の保管
原材料は肉・魚・野菜類等食材ごとに専用の保管場所を設けて相互汚染を防いでいます。包丁やまな板等の調理器具も用途別及び食品別で色ごとにそれぞれ専用のものを使用し、混合しないようにしています。食中毒菌は動物の腸管内や土壌、海水等自然界に生息しており、汚染された食材を処理することで包丁やまな板が汚染され、この汚染された包丁やまな板を使用して切った野菜等が二次的に汚染されてしまうのを防ぐため専用のものを用意しています。また、他からの二次汚染を防ぐために加熱調理済み食品や非加熱調理食品の下処理後は衛生的なふた・ラップを使用し清潔な場所で保管しています。
4.器具や容器等の洗浄・殺菌
器具や容器等の使用後は、流水と洗剤で汚れを落としてよくすすぎます。その後、食器用洗浄機で更に洗浄した後、乾燥庫で熱風乾燥・殺菌を行なっています。洗浄は器具や容器等についたタンパク質やでんぷん等の有機物による汚れを落とすことであり、その後しっかりと熱風乾燥させることで殺菌することができます。また、使用前にアルコール消毒を行い衛生管理に努めています。使用する水道水は安全なものでなければならないため、毎日始業前と調理作業終了後に色、濁り、におい、異物の水質確認を行い記録しています。
5.まとめ
垂坂山ブルーミングハウスの厨房では、大量調理施設ではありませんがHACCPに基づいた大量調理施設衛生管理マニュアルに基づき、利用者さんが安心して食事ができるように衛生管理に努めています。また、月に1度厨房職員に向けて衛生についての勉強会を行い、衛生管理への意識の向上を図っています。今後も食中毒防止に向け、食中毒菌を「つけない」「ふやさない」「やっつける」を徹底し安心安全な食事の提供に努めていきます。
<参考・引用>